食育とは

「食育」がめざすのは、健やかな人格形成です――服部幸應

手づくり家庭食の衰退や外食頻度の増加に伴って問題視されている、偏食による子供の心身の虚弱化や、体力だけでなく、「知力」、いわゆる知識への探究心と応用力の低下を憂い、食文化を通じて子供たちの意欲と興味を引き出したいと考えております。

「テーマにもとづいたレシピを創造し、実際に手と頭を使って作り上げる」作業は、ひとつのことを探求する体験に結びつき、料理という分野を通じて食「文化」に触れる機会を与えることができます。また、包丁・油・火力・蒸気など調理の過程で実体験する様々な現象は、机上の理論を身体で実感するまたとない機会だと考えます。

手を使い、算数や理科の法則を生活の中で発見・活用する柔軟さ、発想とその臨機応変な転換を素早く判断する力を持った子供を育てるのに、「料理」という手段がいかに有効かを、参加する子供だけでなくご両親にもぜひ知っていただきたいと思い、そして「美味しい」のひとことで達成感に瞳を輝かせる子供たち、優勝を逃がして悔し涙をこらえる子供たちの喜怒哀楽に触れて、「感情のある親子コミュニケーション」を実感してほしいと考えております。

2005年7月15日に「食育基本法」が成立し、2006年3月31日には、内閣府「食育推進会議」によって将来5ヵ年の食育推進基本計画が決定しました。また食品メーカーや流通、外食産業なども本格的に「食育」に取り組み始めました。これからは、幼稚園や小学校でも「食育」の指導が積極的に行われるようになります。

「食育」を学び、子どもたちが食べ物に興味を持ち始めたら、ぜひみなさんのご家庭を「食育」の実践の場にしてあげてください。「食育」は健やかな人格形成の大きな柱です。一緒に料理を楽しんだり、漬物作りに挑戦したり、食事の作法を教えたり、子どもの頃の良い体験は、その子の一生の財産になります。本来、家庭の食卓は、心を育む場であり、食を通じて、食習慣の指導や躾を行う、人間を育む場です。

家族みんなで食卓を囲めば、それだけで豊かな気持ちになれるものです。みなさんも一度原点に立ち戻ってみてください。それはきっと健やかな人生への出発点になるはずです。

食事バランスガイド

「食事バランスガイド」は、健康で豊かな食生活の実現を目的に策定された「食生活指針」(平成12年3月)を具体的に行動に結びつけるものとして、平成17年6月に農林水産省と厚生労働省により決定されました。「食事の基本」を身につけるための望ましい食事のとり方やおおよその量をわかりやすく示しています。

コマのイラストにより、一日分の食事を表現し、これらの食事のバランスが悪いと倒れてしまうことを表現しています。あなたのコマはうまくまわっているでしょうか?

食事バランスガイド
食事バランスガイド拡大図